トルコ統計局は、所得・生活条件調査に基づき、近年のトルコにおける所得分配に関する統計を公表しています。本記事では、2022年から2024年のデータをもとに、世帯、雇用、教育、産業の側面から、所得格差および所得分配の特徴を分析します。
概要
等価可処分所得に基づく世帯年間所得の五分位別分布
- 2024年において、上位五分位の所得シェアは48.1%となり、前年から0.6ポイント低下しました。
- 同期間では、下位五分位のシェアは6.3%で、0.2ポイントの減少が見られました。
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参考として、等価可処分所得の平均値(187,728 トルコリラ)と各五分位の所得シェアに基づき、上位20%および下位20%の平均所得水準を試算すると、以下のとおりとなります。
- 下位20%:約59,000 トルコリラ
- 上位20%:約451,000 トルコリラ
このように、上位20%と下位20%の間には大きな所得格差が確認されます。
世帯所得の動向と地域差
等価可処分所得に基づく世帯所得の分配指標
トルコにおけるジニ係数
S80/S20比およびS90/S10比
- S80/S20比は、2024年において2023年と比べて0.2ポイント低下しました。
- S90/S10比は、同期間において0.5%低下しました。
- 各指標は低下しているものの、所得分配の不平等は依然として高い水準にあります。
※S80/S20比およびS90/S10比:上位20%と下位20%、および上位10%と下位10%の所得格差を示す指標です。
平均年間世帯可処分所得
- 2024年の平均年間世帯可処分所得は374,899トルコリラ(約11,434USD)で、前年に比べて106.9%増加しました。
- 年の等価可処分所得(世帯人員調整後)も、前年の90,116トルコリラ(約2,748USD)から187,728トルコリラ(約5,726USD)へと、108.3%増加しました。
- 名目所得は大幅に増加しているものの、インフレの影響を考慮すると、実質的な改善は限定的であったと考えられます。
世帯類型別の平均年間等価可処分所得
- さまざまな世帯類型の中で、複数人の非家族世帯は、前年に比べて124,506トルコリラ (約2,755.45 USD)増加し、平均年間等価可処分所得が最も高い水準となりました。
トルコの首都における所得と全国平均との比較(2024年)
― 全国平均・首都(アンカラ)・最高所得都市(イスタンブール)の比較
- アンカラの等価可処分世帯所得の年間平均は248,285トルコリラ(約5,494USD)で、257,891トルコリラ (約5,707USD)のイスタンブールに次いで国内第2位となりました。
所得格差(S80/S20比)― 全国平均・首都(アンカラ)・最高所得都市(イスタンブール)の比較
- アンカラはS80/S20比が7.6と、7.7のイスタンブールに次いで国内で2番目に所得格差が大きい地域となっています。
雇用・教育・産業別にみた所得格差
2024年における所得種類別構成比(%)
所得の上位3種類

Source: Türkiye İstatistik Kurumu (TÜİK) •
Reference period of income is the previous calendar year
教育水準別における主な就業の年間平均所得
- 2023年から2024年にかけて主な就業による所得の増加率が最も高かったのは、高等学校または同等の学歴を有する層で、110.2%となりました。一方、最も低かったのは無学歴の層で、88.2%でした。
産業別における主な就業における年間平均所得
- 2024年において、年間平均所得が最も高かったのはサービス業で、242,299トルコリラ(約7,390USD)となり、前年と比べて100.2%の増加が見られました。
- 一方、最も低かったのは農業部門で、153,773トルコリラ(約4,690USD)となり、2023年から2024年にかけて66.0%の増加となりました。
- 同期間において、年間平均所得の増加率が最も高かったのは建設業で115.4%、次いで工業部門が102.0%となりました。
- 産業間で所得水準および増加率に差が見られ、サービス業や建設業が成長を牽引する一方、農業部門との格差は引き続き存在しています。
結論
全体として、2024年はインフレを背景に名目所得が大幅に増加したものの、所得分配の改善は限定的にとどまりました。
その結果、所得分配構造に大きな変化は見られず、地域・教育・産業間の格差は依然として継続しています。
今後の所得分配の改善には、インフレの抑制に加え、教育機会の均等化や産業間格差の是正といった構造的な対応が求められます。