エグゼクティブサマリー

2026年第1四半期のベトナム経済は、世界的な不確実性が続く中でも堅調に推移しました。GDPは前年同期比7.83%増となり、特に消費財およびサービス分野が10.9%成長したことで、内需市場が成長を支える主要な原動力となっています。

観光の回復と所得の増加を背景に、消費は引き続き拡大しており、ベトナムは東南アジアでも成長が著しい消費財市場の一つとして存在感を高めています。

また、近年の消費は単なる量的拡大にとどまらず、外食や旅行などの体験志向型消費へと広がっており、消費構造そのものにも変化が見られます。

経済成長

2026年第1四半期のベトナム経済は、製造業とサービス業を中心に、バランスの取れた成長となりました。

工業・建設:+8.92%
サービス業:+8.18%
製造業:+9.73%

製造業は引き続き主要な成長エンジンである一方、サービス部門の比重拡大は、ベトナム経済が内需中心の経済へと移行しつつあることを示唆しています。

中東情勢、サプライチェーンの不安定化、エネルギー価格の上昇などにより、外部環境の不確実性は続いています。それでも、ベトナムは6.0%~7.6%の成長見通しを維持しており、ASEANの中でも特に高い成長ポテンシャルを有する国と評価されています。

消費・小売

2026年第1四半期において、消費市場はベトナム経済の成長を支える中核的な分野となりました。

総小売売上高:1,902.8兆VND
成長率:前年同期比 +10.9%
実質成長率:+7.0%

物価要因を除いた実質成長率は7.0%となっており、消費の拡大が価格上昇ではなく、実質的な需要増加によって支えられていることがうかがえます。

訪問外国人観光客数は676万人に達し、前年同期比12.4%増と、過去最高水準を記録しました。観光の回復は、外食、飲料、スナック、コンビニエンスストア、美容関連など、幅広いFMCG関連カテゴリの需要拡大にもつながっています。

また、平均月収は900万VNDと、前年同期比で8.5%増加しました。所得環境の改善により、消費者の購買力も引き続き高まっています。

こうした動きは、FMCG消費が生活必需品中心の消費から、よりライフスタイル志向の消費へと広がっていることを示しています。

セグメント別の消費市場成長

ベトナムの消費市場では、単なる商品消費にとどまらず、体験志向型消費への移行が進んでいます。

小売商品が10.9%成長した一方で、飲食サービスは+13.3%、旅行サービスは+12.5%と、より高い成長率を記録しました。こうした動きから、消費構造の変化が明確に表れています。

特に、サービス分野の成長は、外食や観光活動の増加を通じて、食品・飲料、スナック、美容関連などのFMCG商品の需要を間接的に押し上げる要因となっています。

また、物流・輸送の増加、特に貨物輸送の14.5%増加や、通信インフラの拡大は、流通効率の向上とEコマース成長基盤の強化につながっています。これらの要素は、FMCG市場の拡大を構造的に支えるものです。

つまり、現在の消費拡大は単なる短期的な回復ではなく、中長期的な市場成長の基盤が形成されつつあることを示しています。

結論

ベトナムのFMCG市場は、単なる成長局面を超え、消費構造の転換が進む市場となっています。

所得の増加、観光の回復、流通インフラの拡大が同時に進む中で、消費は量的拡大にとどまらず、質的な高度化へと向かっています。

特に、外食や旅行といったサービス消費の急速な成長は、FMCG商品の需要を間接的に押し上げ、市場成長を構造的に支える要因となっています。

ベトナムは、単に消費量が多い市場ではなく、消費のあり方そのものが変化しており、中長期的な成長が見込まれる市場として捉える必要があります。

FMCG企業にとっては、単なる市場参入にとどまらず、こうした消費変化を踏まえた戦略的ポジショニングが求められる市場だといえます。

Reference : Press release socio-economic situation in the First quarter of 2026 – National Statistics Office of Vietnam