ベトナム経済、2026年上半期も高成長を維持
Hyejin Kim Author
Table of Contents 目次
製造業、消費、投資の拡大が成長をけん引
地政学的な緊張や世界経済の減速、インフレ、サプライチェーンの混乱など、先行きの見通しにくい状況が続いています。こうした中でも、ベトナム経済は2026年上半期に前年同期比8.18%の高いGDP成長率を記録しました。
成長を支えたのは、製造業を中心とする生産活動の拡大に加え、国内消費、輸出入、外国からの投資、観光需要の回復です。特定の産業に依存するのではなく、複数の分野がそろって伸びたことで、ベトナム経済の底堅さが改めて浮き彫りとなりました。
製造業を中心に、生産活動が拡大
2026年上半期は、産業・建設、サービス、農林水産業のすべてでプラス成長となりました。
産業・建設は前年同期比9.81%増、サービスは8.09%増、農林水産業は3.87%増を記録しています。中でも経済成長を大きく支えたのが、加工・製造業です。
鉱工業生産指数(IIP)は前年同期比10.8%上昇し、加工・製造業は11.4%増となりました。海外向けの生産が活発化しているほか、国内の生産能力も引き続き拡大しています。
グローバル企業による生産拠点の分散が進む中、ベトナムは東南アジアの主要な製造拠点として、存在感を一段と高めています。
輸出入が大きく増加、外国投資も堅調
生産活動の拡大に伴い、貿易も大きく伸びました。
2026年上半期の輸出入総額は5,496.9億米ドルに達しました。前年同期と比べて、輸出は21.0%増、輸入は33.4%増となっています。
輸入の大幅な増加には、製造に必要な原材料や部品、設備などの需要が高まったことも影響しているとみられます。一方で、輸入の伸びが輸出を上回ったため、貿易収支は赤字となりました。貿易規模は拡大しているものの、その内訳や収支の動向には引き続き注意が必要です。
外国からの投資も堅調です。実際に実行された対内直接投資額は130.3億米ドルとなり、新規案件や追加投資などを含む登録ベースの対内直接投資額は346.5億米ドルに達しました。
外国企業による投資が継続していることからも、生産拠点や販売市場としてのベトナムに対する期待の高さがうかがえます。
個人消費と観光需要がサービス業を下支え
外需や製造業だけでなく、国内市場も経済成長を支えています。
2026年上半期の財・サービスの小売売上高は3,889.5兆ベトナムドンとなり、前年同期比12.9%増加しました。物価上昇の影響を考慮する必要はあるものの、消費活動は全体として堅調に推移しています。
観光市場の回復も続いています。上半期にベトナムを訪れた外国人は約1,225万人に達しました。外国人旅行者の増加は、宿泊・飲食、小売、運輸、娯楽など、幅広いサービス業にプラスの効果をもたらしています。
国内の所得水準の上昇や都市部を中心とする消費市場の拡大とあわせて、今後も内需がベトナム経済の重要な成長源となることが期待されます。
事業展開先として高まるベトナムの存在感
2026年上半期のベトナム経済は、製造業、貿易、外国投資、国内消費、観光といった複数の分野に支えられ、高い成長を実現しました。
世界経済を取り巻く不確実性は依然として残っています。また、輸入の急増やインフレなど、今後の動向を注視すべき点もあります。
それでも、製造拠点としての競争力に加え、約1億人の人口を抱える消費市場としての可能性も拡大しています。こうした成長を背景に、ベトナムは今後も、東南アジアでの事業展開を検討する企業から高い関心を集めるとみられます。
出典:ベトナム国家統計局「2026年第2四半期および上半期の社会経済情勢」








